リストラハラスメント(リスハラ)とは、何の通告もなく、いきなり望まない部署に配置転換をされたり、明らかに見合わない仕事を押し付けられたりといった、社員を自主退職に追い込む嫌がらせ行為のことを指します。
また、リストラ対象となった社員に対して、「そんなんだからリストラされるんだ」などといった、精神的に追い込むような発言もリストラハラスメントに含まれます。
こちらの記事では、リストラハラスメントとはどのようなものなのか、その事例や、リストラに追い込まれたときの対処方法や解決方法などについてご紹介します。
リストラハラスメントとは?
リストラハラスメント(リスハラ)とは、何の通告もなく、いきなり望まない部署に配置転換をされたり、明らかに見合わない仕事を押し付けられたりといった、社員を自主退職に追い込む嫌がらせ行為のことです。
リストラハラスメントの内容とは?
リストラハラスメントとは、大きく分けて2種類に分類されます。
社員を自主退職に追い込む嫌がらせ
上司から、急に知らない部署への配置転換を言い渡される。
到底できそうにない業務量を次から次へと任されたりする。
これらの、社員を自主退職に追い込むような嫌がらせ行為を受けることも、リストラハラスメントに該当します。
広く知られているのは、こちらのハラスメントですね。
「お前はそんなんだから無能なんだ。」「こんな役立たずで仕事を増やすことしか能がないバカなんか、この会社にはいらない。」
上記のような、相手を言葉で追い込み、精神的にダメージを負わせ、退職に追い込むような嫌がらせも、リストラハラスメントに該当します。
上記のように、相手の人格を否定したり、傷つけるような言動や行動をする嫌がらせは、モラハラにも該当します。
また、自主退職に追い込もうとする際に、圧力をかけたり、大声で怒鳴ったり、別室で長時間叱責されたりなどの行為も、パワハラにも該当します。
リストラ対象である社員への嫌がらせ
リストラ対象となった社員もいるかもしれません。
そのような人に対して、「あ~、やっぱりな。お前は絶対にリストラされると思ってたよ。」「そんなんだからリストラされるんだろ。」というような言葉がけはやめましょう。
心ない言葉で相手を傷つけるような嫌がらせ行為もリストラハラスメントに該当します。
相手の能力を下に見て、
リストラされるのは当たり前といった前提で相手を不快な気持ちにさせるような発言・行動を行っています。
このような言動は、上記でも言いましたが、モラハラにも該当すると考えても良いかもしれませんね。
リストラハラスメントが行われる原因とは?
リストラハラスメントが行われる原因は、さまざまあるでしょう。
ただ単に相手が気に入らないから、一緒に働きたくないから、といった単純な理由ももちろんあります。
しかし、リストラハラスメントが行われる原因として一番多いのは、会社側が社員を解雇する際に、負うと考えられるリスクを回避するためです。
労働者を解雇するのではなく、意図的に辞めたくなるような嫌がらせ行為を行い、対象の労働者を退職に追い込むことによるものです。
労働者を解雇する際に会社側が負うリスクとは?
労働者に解雇を告げた際に、解雇通告に不満を呈した労働者から訴えられて争われる可能性があります。
それが原因で解雇が無効になってしまった場合には、会社側は労働者に対して、不就労期間中の賃金を補償する義務が発生してしまいます。
それを受諾することは困難であることが多いです。
そのため、そのリスクを避けるために、意図的にリストラハラスメントを行うことが多くなっているのが現状です。
では、リストハラスメントの事例についてみていきましょう。
リストラハラスメントの事例
ここでは、リストラハラスメントの事例についてご紹介します。
- 何か忘れたことや失敗したことがあると、「本当にお前はダメなやつだ。」「こんな簡単なこともこなせないやつはこの会社にはいらない」などと、会社には必要のない人間であると執拗に言ってくる
- 「このくらいの業務をこなせて初めて一人前。」「これがこなせないなら、必要ないからやめた方がいいんじゃない?」などと言って、こなせない量の業務を押し付ける
- 自主退職を勧められたので断ったところ、急に配属したことのない部署に配置転換を言い渡され、能力に見合わない業務を押し付けられた
- リストラを言い渡された際に、上司から「お前みたいなやつ、リストラを言い渡されて当然だよ。」「お前がいなくなってせいせいする。」などと、リストラ対象になったことを馬鹿にするような発言をする
上記のように、上司から部下に対して、相手の能力を見下したり、会社には必要がない・役立たずな人間であるというように、人格を否定するような発言や行動を行うこと。
急な配置転換や、能力に見合わない業務、こなしきれない量の業務を負わされることなどが、リストラハラスメントに該当します。
では、リストラハラスメントの加害者にならないためにはどうすればいいのか、その対処方法についてみていきましょう。
リストラハラスメントの対処方法
ここでは、リストラハラスメントの加害者にならないための対処方法についてご紹介します。
何でもリストラに結び付けて話をしない
何かにつけて、リストラと結び付けて話をすると、相手の能力を見下すような発言も増え、リスハラに繋がる可能性が高くなります。
例えば、「そんなんだとリストラされる。」「これができないと、きっとリストラ対象になるだろうな。」などです。
また、リストラは通告されても、当然うれしいものではありません。
なので、何でもリストラに結び付けて話をすると、必然的に相手に不快感を与えてしまうことになります。
そのため、執拗にリストラに結び付けて話をすることは避けるようにしましょう。
相手の悪い点や改善してほしい点は、しっかりと相手に伝える
会社側の都合によってリストラされる場合は除きます。
本来、リストラを言い渡される際には、相手に対し、悪い点や改善してほしい点があると思います。
その場合は、相手を自主退職に追い込む前に、まずは相手の悪い点や改善してほしい点をしっかりと相手に伝えることが重要です。
それで改善する見込みがあるのであれば、リスハラをする必要もなくなるので、ハラスメントを起こすリスクを避けることができます。
注意しても改善が見られない相手には、上司に報告し、適切な対応を行う
上記のように、相手に悪い点や改善してほしい点を伝えたにも関わらず、改善が見られない場合には、上司に報告し、適切な対応を行うことが重要です。
この場合に、「そんなんだからダメなんだよ。」「そりゃあ、リストラ対象にもなるでしょ。」などの発言は避けましょう。
それによって相手が不快な気持ちになった場合には、ハラスメントになってしまいます。
そのため、何度注意しても改善が見られないような社員に対しては、上司に報告し、対応を指示してもらい、適切な手段で制裁を加えることが重要です。
リストラ対象になった社員に対して、心ない言葉を言わない
リストラ対象になった社員に対して、「あ、やっぱりリストラされたんだ。まぁ当然だよね。」「お前、役立たずだもんな。いい気味だね。」などと発言するのも避けましょう。
いくら相手に非があったとしても、その行為はハラスメントに該当します。
そのため、心ない言葉は本人には言わずに、心の中で留めておく(我慢する)ことが重要です。
では、リストラハラスメントの被害にあった場合どう対処すればいいのか、解決方法についてもみていきたいと思います。
リストラハラスメントの解決方法
ここでは、リストラハラスメントの被害に遭った時の対処方法と、リストラハラスメントをなくすための解決方法についてご紹介します。
リストラに追い込まれた時の対処法
リストラが不当であった場合の対処法についてご紹介します。
ハラスメント差止要求書を送付する
リストラハラスメントを辞めさせたい場合には、ハラスメント差止要求書を会社に送付することも対処法の一つです。
裁判で訴える
自主退職に追い込むために執拗に退職を強要してくる場合は、リスハラだけではなくパワハラで訴えることもできます。
また、過度な退職勧奨は『退職強要』にも当たるため、慰謝料や損害賠償を請求することができるので、弁護士に相談するのも一つの手段といえます。
リスハラが酷いと認められる場合には、「脅迫罪」や「強要罪」に当たる可能性があり、刑法で裁くことができる場合があります。
そのため、リスハラがあまりに酷いと感じる場合には、一度弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
リストラハラスメントをなくすための解決策
信頼のできる上司や社内の相談窓口に相談する
相手の能力を見下すような発言を行い、自主退職に追い込むような嫌がらせ行為を行う場合もあるでしょう。
その場合は、信頼のできる上司や社内の相談窓口に相談してみるのも、リスハラをなくす一つの手段といえます。
この場合には、社内でリスハラが行われていることが周知されていない可能性が高いので、ハラスメントが行われている事実を報告し、周知してもらうことが重要です。
また、その際にはハラスメントの記録を取っておくと証拠として提出できるので、早急に対応してもらいやすくなります。
しかし、残念ながら、会社側が指示して自主退職に追い込む場合のリスハラには対応できません。
社外の相談窓口に相談する
上記の内容で相談しても現状が改善しなかった場合には、社外の相談窓口に相談すると良いでしょう。
特に、リスハラは、パワハラに類似しているハラスメントであると言えます。
労働局や労働基準監督署に相談することで、問題解決のためのアドバイスをもらうことができます。
その際には、上記で記載したようにハラスメントの記録を取ったものを持参すると、証拠として提出できるので、より適切なアドバイスがもらえるようになります。