セカンドハラスメントとは?嫌がらせの二次被害の解決方法は?

セカンドハラスメント(セカハラ)とは、ハラスメントの被害を同僚や上司などに相談した場合に、相談した被害者が、相談相手からさらに責められたり、社内で嫌がらせを受けたりするなどの二次被害のことをいいます。

ハラスメントの被害にあったとき、勇気を出して同僚などに相談したことがある人もいるのではないでしょうか。

それらに対して、加害者を擁護して被害者を責めるような発言をされてしまったら、相談した人は深く傷付きます。

そして、ハラスメント被害の解決への道がさらに遠のいてしまいます。

ですので、相談者に対して「(被害者が)嘘ついてるんじゃないの?」や「(加害者は)そんなことをする人じゃないのに酷い」などの発言は避けるようにしましょう。

また、そんな事態を避けるために、私達はどうするべきなのでしょうか。

こちらの記事では、セカンドハラスメントの違法性や事例に触れつつ、対処方法や解決方法について解説します。

セカンドハラスメントの違法性

ここでは、セカンドハラスメントの中で、法律違反に該当するハラスメントをご紹介します。

数多くあるハラスメントの種類の中で、セカンドハラスメントに該当するハラスメントとは、セクハラやパワハラ、モラハラだけではなく、ハラスメント全般のことを指しています。

パワハラ:損害賠償の対象

職場の上層部や相談窓口などにパワハラ被害を相談したにもかかわらず、対処がされなかった。

また、セカンドハラスメントが行われた場合には、慰謝料請求や損害賠償請求の対象となる可能性があります。

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。(民法)

セクハラ:男女雇用機会均等法の違反

セクハラに対して、会社側は防止措置を講ずる義務があります。

そのため、セクハラの報告を受けたにもかかわらず、それを見て見ぬふりをして対処を行わなかった場合には、男女雇用機会均等法に違反する可能性があります。

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)

マタハラ:育児介護休業法違反

マタハラの報告を受けたにもかかわらず、改善が見られなかった上に、セカンドハラスメントを行った場合には、育児介護休業法に違反する可能性があります。

第二十三条の二 事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

第三十三条 国は、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因の解消を図るため、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立に関し、事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずるものとする。

(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)

では、セカンドハラスメントには、どのような事例があるのでしょうか。

セカンドハラスメントの事例

ここでは、セカンドハラスメントに該当する事例についてご紹介します。

相談者を責めるようなもの

  • 「なんで気を付けなかったの?未然に防げたでしょ?」
  • 「職場にいたらハラスメントなんて普通だから。我慢するもんだよ。」
  • 「私が若い頃は耐えられたのに。最近の子は弱いんだね。」
  • 「(加害者が)そんなことをする人には見えないよ。勘違いじゃない?」

上記のように、相談者を責めるようなものはセカンドハラスメントに該当する可能性があります。

ある人によっては何とも思わないことであっても、ある人によっては酷く傷ついてしまうことであるように、人によって受け取り方は大いに異なります。

そのため、ハラスメントを防止するためには、上記のような発言は安易に行わないようにすることが無難だといえます。

相談内容を報復・隠蔽しようとするもの

  • 「(被害者に対して)そんな事実はない!言いがかりだ!」
  • 「労基に訴えられる前に、証拠になりそうなものを回収しておこう」
  • 「こんな被害があった、なんて言えないようにしてやろう」
  • 「証拠が残させないように、対策しておこう」

上記のように、相談者が相談した内容に対して、報復・隠蔽しようとするものもセカンドハラスメントに該当する可能性があります。

ハラスメント被害をなくそうとして相談したにもかかわらず、それを受けた側が報復・隠蔽しようとする行為は、人として許せない行為だと思います。

しかも、それらを悪いことだと自覚して行っていると考えると、本当に質が悪いですね。

相談内容を放置、拒絶、流布するもの

  • 「対応を検討しておきますね。」と言って1ヶ月、全く対策がされていない=放置
  • 「対応するのはしんどいな…」と面倒に思い、拒絶的・高圧的な態度をとる
  • 「こういうハラスメントがある」と被害者や加害者の氏名を勝手に周囲に公表する=流布

上記のように、相談内容に対しての対応を後回しにして放置したり、自身の決めつけや思い込みによって拒絶的・高圧的な態度をとること。

周囲に必要以上の情報を相談者に許可なくばらまく等の行為は、セカンドハラスメントに該当する可能性があります。

セカンドハラスメントの判断基準は?

上記に挙げたような事例がセカンドハラスメントに該当するかどうかは、対象者が上記の言動や行動を受けたことによって、身体的または精神的苦痛を感じたかどうかが重要となります。

つまり、上記に挙げたような言動が見られたとしても、対象者の受け取り方によって、該当する場合としない場合が考えられます。

そのため、判断基準を定めることは難しいのが現状です。

次は、そんなセカンドハラスメントの対処方法について、見ていきましょう。

セカンドハラスメントの対処方法

ここでは、セカンドハラスメントの加害者とならないための対処方法についてご紹介します。

相談内容に耳を傾ける(傾聴する)

ハラスメント被害をなくすためには、相手の話をしっかりと聞き取ることが必要不可欠です。

ハラスメント被害が起こった経緯や、いつから起こったのか、何回被害に遭ったのか。

本人の考えや意思はどうか、加害者に対してどう対処してほしいのか等、それらを聞き取った上で初めて対処することができます。

ですので、それらを静かに「傾聴する」ことが重要です。

事実関係を確認せず、一方的に相手を否定しない

相手から相談された内容を受けて、自分の認識だけで「嘘をついているのではないか」「あの人がそんなことをするわけがないじゃないか」と一方的に否定しないことが重要です。

上司や部下などの上下関係のある立場であっても、同僚同士であっても、関係性によっても、人によっても対応は変わるものです。

そのため、自分だけの視野で見たことだけに捉われず、双方の立場からの話を聞いて事実確認を行うようにしましょう。

安易に慰めたり、励ましたりせず、ただ受け止める

以下は、相手からの相談内容にもよります。

ですが、その内容に対して、「そんなのよくあることだよ」「私も、そういったことには耐えてきたよ」「自分で何とかできるよ」など、相談者を慰めようとする。

または、励まそうとして発した何気ない言葉や行動が、相手をさらに傷つけた場合にも、セカンドハラスメントに該当する可能性があります。

受け取り方は人それぞれであり、傷つく程度も人それぞれに違います。そのため、自分が大丈夫だからといって、他の人が大丈夫だとは限りません。

それを理解した上で、相談者に対して発言・行動をすることが重要です。

相談を受けた内容については、上層部に報告する

相談を受けた内容については、自分の内に秘めるのではなく、上層部に報告することが重要です。

ハラスメント被害をなくすためには、社内で起こっているハラスメントの現状を会社に周知することが必要不可欠となります。

そのために、被害者(相談者)本人が訴えることができないのであれば、それを聞いた側の人がハラスメント被害の現状を伝えるようにしましょう。

相談する際には、被害者と加害者の立場を考慮することが重要です

ハラスメント被害を受けた被害者は、その事実を周囲に知られたくないという気持ちがあります。

そのため、安易に氏名を公表したり、被害内容を公表することは避けましょう。

また、被害者から相談を受けたことに対して、ハラスメントの被害をなくそうと加害者に直に声をかけるのは大変危険です。

相談を受けた上司や同僚が代わりにその事実を確認しようとする場合であっても、被害者がそれを言っていたと暴露したり、やめてほしいと加害者に訴えるのにも配慮が必要です。

ハラスメント被害の事実確認のために聞き取りを行うのであれば、安易に被害者や加害者の名前は出さないようにしましょう。

その被害があったかどうかを確認するだけに留めておくことが重要です。

つぎにセカンドハラスメントの解決方法についてみていきましょう。

セカンドハラスメントの解決方法

ここでは、セカンドハラスメントの解決方法についてご紹介します。

社内の相談窓口を利用する

ハラスメントの被害をなくすためには、ハラスメントが行われている現状をまずは会社に周知してもらうことが重要です。

上層部に報告することも一つの方法としてありますが、社内の相談窓口であれば、直接会社にその現状を伝えることができます。

誰にも相談できない、どうしたら良いのかわからないと思ってしまった場合には、相談窓口に相談してみてください。

社外の相談窓口を利用する

社内の相談窓口を利用しても、ハラスメントの被害がなくならない、改善が見込めないと判断される場合には、社外の相談窓口を利用する手もあります。

社内では十分な対策が見込めなかった場合にも、社外の相談窓口であれば、状況を深刻に受け止めて、対応してもらえる可能性が非常に高くなります。

では、セカンドハラスメントをなくすためにはどうすればいいのでしょうか。

セカンドハラスメントをなくすためには

セカンドハラスメントをなくすためには、どうすればいいのでしょうか。

ハラスメントの解決策として、一人で抱え込まずに相談することが推奨されています。

それゆえに、勇気を出して相談したところ、さらなる被害を生み出してしまうと考えると、誰に相談して良いのか、わからなくなってしまいますよね。

そんな悲しい事態を招かないようにするためにも、ハラスメント被害に対しては信頼できると確信できる人に相談する。

もしくはハラスメント被害を専門に扱っている相談窓口に相談することが重要かもしれませんね。

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