子なしハラスメントとは、子どものいない夫婦に対して、不快感を与えるような言葉をかけることによる嫌がらせのことを指します。
最近では、計画的に子どもを作らない夫婦も増えてきたことに伴って、子なしハラスメントという言葉が知られるようになるほど増加しています。
そのため、マタハラやパタハラ、育ハラなどに続いて、深刻な社会問題となりつつあります。
こちらの記事では、主に職場に焦点を当てて、子なしハラスメントとはどのようなものなのか、事例、対処方法や解決方法についてご紹介します。
子なしハラスメントとは?
子なしハラスメントとは、子どものいない夫婦に対して、不快感を与えるような言葉をかけることによる嫌がらせのことを指します。
- 相手を不快にさせる
- 尊厳を傷つける
- 不利益を与える
- 脅威を与える
上記のような、相手に良くない影響を与える言動や行動を行う嫌がらせのことを指しています。
子なしハラスメントが知られるようになったのは、2015年からが始まりだといわれています。
近年、職場における子なしハラスメントが増加しており、マタハラやパタハラ、育ハラなどに続いて、問題となっているハラスメントといえます。
特に、女性に対して、子なしハラスメントが行われる場合が多く、その返し方や対応方法がわからず、我慢してしまう人も少なくありません。
また、男性に対しても行われることがあるため、決して女性のみのハラスメントではありませんので、注意しましょう。
では、子なしハラスメントの事例についてみていきましょう。
子なしハラスメントの事例
ここでは、職場で行われる子なしハラスメントの事例についてご紹介します。
子どもについて執拗に聞かれる
- いつ頃、子どもを作る予定なの?
- 子どもは欲しいとは思わないの?
- なんで子どもを作らないの?
- 旦那の稼ぎが少なくて、子どもが作れないの?
- そもそも、どっちかが不妊なの?
上記に挙げたような、子どもに関することについて執拗に聞くことも子なしハラスメントに該当します。
子どもを作ることを執拗に勧められる
- 子どもを作らないなんて、女としてもったいないわよ!
- 子どもを作れば、今よりももっと幸せになれるよ!
- 子どもを産むことが、女にとって一番の幸せだよ!
- 若いうちに子どもを産んでおかないと、あとでほしくなっても厳しくなるよ
上記に挙げたような、子どもを作ることに対して、子どもを作るメリットなど、若いうちに子どもを作っておかないといけないということを言う。
また、執拗に勧めるような行為も、子なしハラスメントに該当します。
また、「子どもを作らないと~」という言い方をしてしまうと、脅迫になってしまうので注意が必要です。
子どもを作らないことに対して、人格を否定される
- 子どもを作らないなんて、女として終わってるよ
- 子どもがいない生活なんて、想像しただけでゾッとするよ
- 子どもはいらないって考えるなんて、精神的におかしいんじゃない?
- 女の幸せを感じられないなんて、かわいそうだね
上記に挙げたような、子どもを作らないと考えている考え方を否定したり、人格を否定するような言動や行動を行うことも子なしハラスメントに該当します。
子どもを作らないことをネタにする、馬鹿にされる
- 子どもを作らないなんて、きっと旦那が不妊でできないのよ
- 夫婦関係に亀裂が入ってるから、子どもができないんじゃない?
- 夫婦の営みが少ないのよ、もっと積極的にならなきゃね
- 子どもがいる幸せを感じられないなんて、本当にかわいそうよね
上記に挙げたように、子どもを作らないことをネタにして、相手を馬鹿にするような言動や行動を行うことも子なしハラスメントに該当します。
子どもに関する話題に入れない、仲間外れにされる
- あぁ、ごめんなさい、あなたには子どもがいないものね
- 子どもがいない人には、この話はわからないわよね
- 子どもがいない人は関係がないから、来なくていいわよ
- 子どもがいないんだから、子育ての苦労なんて知らないわよね
上記に挙げたような、言動を行うことによって、子どもに関する話題に入れないようにしたり、仲間外れするなどの行為が嫌がらせとして多く見られます。
また、明確な言動や行動がなくても、子どもに関する話題のみを話してしまうと、結果的に話題に入れなかったり、仲間外れになってしまうことも少なくありません。
その場合、子なしハラスメントに該当してしまうので、注意が必要です。
子どもがいないことを理由に仕事を押し付けられる
- 子どもがいないなら、時間あるでしょ!
- 今から子どものお迎えに行かないといけないから、後の仕事はお願いね!
- 妊娠中の人の代わりに、この業務も並行して納期までに終わらせろよ
- 暇な人がカバーすればいいのよ、助け合いが大事だからね
上記のように、子どもがいないことを逆手にとるケースもあります。
子どもがいる人、妊娠中の人の代わりに、仕事を押し付けるような行為も、子なしハラスメントに該当します。
では、子なしハラスメントをしないためにはどうすればいいのか、対処方法についてみていきましょう。
子なしハラスメントの対処方法
ここでは、子なしハラスメントの加害者にならないための対処方法についてご紹介します。
子どもを作らないことには理由があることを自覚する
子どもを作らないと決めている家庭には、必ず何かしらの理由があります。
その理由として考えられることは、以下の通りです。
②子どもがいらないわけではないが、作る予定はない
③子どもがほしくて不妊治療をしたが、できなかった
④子どもはできたが流産してしまった、またはその経験がある
⑤子どもはほしいけれども、できない
①や②のように、子どもがいる必要性を感じられない人もいれば、子どもが嫌いで作らない人もいます。
お金のことや仕事的な問題、または身体的な問題があるために、子どもを作らないまま現在に至っている人もいます。
また、③~⑤のように、子どもを熱望していても、不妊などの身体的な理由から子どもができない場合もあります。
一度流産した経験があり、それから子どもを産むことに前向きになれないなどの理由から、子どもを作っていない場合もあります。
このように、子どもを作らない理由も人によって様々ですから、それをしっかりと念頭に置きましょう。
慎重な発言や行動を行うことが、子なしハラスメントを防ぐためにできる対処方法であるといえます。
悪気はなくても、相手に不快を与えることもある
子なしハラスメントを行ってしまう人の中には、相手に良かれと思って、悪気なくデリカシーのない発言や行動をしてしまっている人もいます。
そのため、悪気はなくても、相手に不快感を与えるような言動や行動は慎むように意識するだけでも、そういったことは防ぐことができます。
相手の状況を知らないと難しい面もあります。
ですが、詳細を聞くことが難しい場合であっても、相手が嫌がるような言動や行動を想像することはできます。
それらをしないように心がけるだけでも、ハラスメントを防ぐためには十分な対策となるでしょう。
執拗に子どものことについて聞き出そうとしない
上記で述べたように、子どもを作らない理由は人それぞれです。
そのため、相手の都合を考えず、執拗に子どものことについて聞き出して、相手に不快感を与えてしまったのであれば、それは子なしハラスメントになります。
話の流れなどから、子どものことについての話を聞く場面もあるかもしれません。
そのような場合には、相手の表情や反応を見て判断することが大切です。
これ以上は踏み込んでほしくない・聞いてほしくないと思えるような状況であれば、執拗に聞くことなく、さっと身を引きましょう。
つぎに、どうすれば子なしハラスメントがなくなるのか、解決方法についてみていきましょう。
子なしハラスメントの解決方法
ここでは、子なしハラスメントをなくすための解決方法についてご紹介します。
また、子なしハラスメントを受けた場合の良い返し方や対応方法についても、こちらに記載いたしますので、ぜひご覧ください。
子なしハラスメントを受けた場合の良い返し方
新婚の場合
- 今はまだ、二人の時間を楽しみたいんです
- 新婚気分をまだ味わっていたいので、今は考えてないです
- 新婚生活を楽しんでいて、充実しています
新婚の場合は、子どもを作らない理由として、二人の時間を楽しみたい、新婚生活を楽しんでいる、などが使えます。
将来的に子どもを考えていますよと伝えることで、子どもを作ることを勧めてくる人の意見も、否定することがなく、トラブルを防ぐことができます。
子どもがほしくない場合
- まだです!(一言のみ)
- 子どもについては考えているんですが、まだですね~
- やることやってないので、まだです!
子どもを必要としていない場合には、多くを語ることなく、たった一言、「まだです!」と言い切ることが一番良い返し方であるといえます。
また、強気に出て答えられる場合には、「やることやってないので!」と言い切ってしまうことも一つの良い返し方といえます。
どっちにしても、それ以上追求されても答えないぞ!という勢いで、強く言い切ってしまうことが重要です。
子どもがほしい場合
- 絶賛妊活中です~!
- 頑張ってるんですけど、難しいですね!
- こればっかりは授かりものですからね~
子どもがほしいと考えている場合には、上記のように、「今、妊活中なんです」や「授かりものですから」と当たり障りのない返答をすることが一番良い返し方といえます。
これも、子どもがほしくない場合と同じように、強く言い切ってしまうことが重要です。
返答する・伝える時のポイント!!
上記に挙げたように、返答する時に重要なポイントが1つあります。
それは、笑顔で、毅然とした態度で堂々と答えることです。
また、子どもを作らない理由などを正直に答えると、それに対してさらに追及されたり、心にもないことを言われることにも繋がり、トラブルが起こりやすくなります。
そのため、多くを語らずに、一言で答えられる返答をすること、笑顔で、「まったく困ってないですよ、幸せですよ~」といった表情ではっきりと言い切ってしまうことが重要です。
子なしハラスメントをなくすための解決策
信頼できる上司や同僚に相談する
子なしハラスメントに遭った際には、まずは信頼できる上司や同僚に相談することが重要です。
自分で辞めてくれとはっきり言えなくても、客観的な視点から見た第三者から注意してもらえば、ハラスメント行為が収まる場合があります。
特に、子なしハラスメントは悪気なく行われることも多いハラスメントであるため、指摘することで減らせるハラスメントであるともいえます。
社内の相談窓口を利用する
上司や同僚に相談しても現状が改善しなかった場合には、ハラスメントの実情を会社に周知するためにも、社内の相談窓口に相談することが重要です。
その際には、日頃のハラスメントに該当するような言動や行動を日記などに残しておくこと。
ICレコーダーなどで録音しておくなど、記録をつけておくと証拠として提出できるので、早急に対応してもらいやすくなります。