カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、カスタマー(顧客)によるハラスメント(嫌がらせ)のことを指し、顧客による自己中心的で理不尽な要求や悪質なクレームなどの迷惑行為のことをいいます。
最近では、社員やアルバイトなどの従業員に対して、店舗側に問題がないにもかかわらず、自分の要求を押し通そうと理不尽なクレームを入れてくる人が増えています。
これらの迷惑行為は、いまや社会問題にもなっています。
こちらの記事では、カスタマーハラスメントとはどのようなものなのか、その事例に触れつつ、対処方法や解決方法について解説します。
カスタマーハラスメントとは
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、カスタマー(顧客)によるハラスメント(嫌がらせ)のことを指し、顧客による自己中心的で理不尽な要求や悪質なクレームなどの迷惑行為のことをいいます。
カスタマーハラスメントは、数々あるハラスメントの中で、新たに知られるようになったハラスメントの一つです。
クレーマーハラスメントと呼ばれることもあります。
従業員や店舗側に非がないにもかかわらず、「お客様は神様だろ!」という考えから、頭ごなしに怒鳴り散らしたり、恫喝してきたりする行為のことを指します。
クレーマーと呼ばれる非常識な顧客が増加していることを受けて、厚生労働省も問題視しています。
この「カスタマーハラスメント」という言葉を浸透させて、顧客にも意識の改善を促していくという声も上がっているようです。
また、悪質なクレームを入れる客に不満を感じている人は多く、「わたしも困ってる!」や「もっと広めて!」といった声がネットで多く上がっています。
そんなカスタマーハラスメントには、どのような事例があるのでしょうか。
カスタマーハラスメントの事例
ここでは、カスタマーハラスメントの事例についてご紹介します。
無理な値切り交渉をする
ある商品に、よく目を凝らして見ないとわからないような小さい傷があったとします。
その商品に対して、傷がついている商品を買わされたと店内で騒ぎ立てて、代金をタダにしろと迫ったり、無理な値切り交渉をしてくることもカスハラに該当します。
また、クレームがあった際の対応として、新しく商品を交換するといっても、頑として値下げ交渉をしてくることがクレーマーにはよく見られます。
脅迫や恐喝をする
クレームの中には、脅迫や恐喝をしてくるような度を超したものも存在します。
例えば、「あんたの店で食べたものが原因で子どもが腹痛と吐き気を訴えてて、止まらないのよ。責任取って、慰謝料として100万円支払いなさい。さもないと、ここのお店の口コミに悪評書くわよ。」というようなものがカスハラに該当します。
土下座や謝罪を要求する
従業員の対応が不満だったと言って、謝罪を要求してくる場合も多く存在します。
また、謝罪をするだけでは誠意が足りないと言って、土下座をして謝れと強要してくることもカスハラに該当します。
店舗側に何の非もなく、言いがかりをつけられて、謝罪や土下座を強要させるなどの行為は当然、カスハラに該当します。
従業員の解雇を要求する
従業員の態度や対応が気に入らないとして、代表者や責任者を呼ぶよう言いつけ、該当の従業員を辞めさせるように要求する場合もカスハラに該当します。
確かな証拠もなく、または、一般的に考えておかしいと思われる対応でない場合においては、カスハラだと判断して良いでしょう。
従業員に性的な嫌がらせを行う
従業員に性的な嫌がらせを行うカスタマーハラスメントも増加しています。
カスハラとセクハラが合わさった非常に悪質な行為ですが、従業員の方は男女問わずに被害に遭ってしまいます。
不必要に肩や胸、腰などを触るというボディタッチや、男性店員がいるのにわざわざ女性店員に避妊具の場所を聞くといった行為なども、カスハラとセクハラに該当します。
この他にも、こういった行為がカスハラに該当します
- 従業員を長時間拘束する
- 何度もしつこく店舗に電話をかける
- 大声で怒鳴り散らす
- 店内の物を汚したり、荒らしたりする
では、カスタマーハラスメントをしないためにはどうすればいいのでしょうか。
カスタマーハラスメントの対処方法
ここでは、カスタマーハラスメントの加害者にならないための対処方法についてご紹介します。
顧客へのサービスが当然だという認識を改める
顧客へのサービスを向上させようと企業側は頑張っています。
一方で、それを受ける顧客側である私たちが、そのサービスを当たり前だと感じてしまっている傾向にあります。
そのため、A店のサービスがB店よりも劣っている場合は、それと比べてサービスが劣っている方の店舗に対して、クレームを抱くことになってしまうのです。
しかし、顧客へのサービスはあくまでも店舗のイメージ向上のためです。
顧客の要望を何が何でも叶えるためのサービスでは決してないので、そこの認識を勘違いしないようにしましょう。
SNSのクレーム内容の投稿を真に受けない
SNSが普及し、様々な考えを持った人の情報を、簡単に多くの人が得られるようになった背景があります。
その中に、「クレームをつけたら商品代がタダになった」というクレーマーの投稿があります、
それを良いと思って、自分もタダにしてもらおうと悪用する人が、新しくクレーマーになるといった悪循環に繋がってしまうのです。
そのため、SNSのクレーム内容の投稿は真似したり、真に受けないようにしましょう。
ストレス発散の対象を他に作る
クレームが発生してしまうのは、国民のストレスが増えたことも関係しています。
立場の弱い従業員に対して、意図的に難癖をつけてストレスを発散している人もいます。
自分がストレスを感じているために、従業員の何気ない態度や不明確な態度にストレスが爆発してしまいクレーマーとなってしまう人もいます。
これらは、日本全体の問題となってきています。
ストレスを溜めないためにも、趣味を作ったり、旅行に行くなど、ストレス発散の対象を他に作るようにすることが、クレーマーにならないための第一歩となります。
つぎに、カスタマーハラスメントの解決方法についてみていきましょう。
カスタマーハラスメントの解決方法
ここでは、カスタマーハラスメントをなくすための解決策についてご紹介します。
監視カメラを設置する
ほとんどの店舗では設置されているかもしれませんが、個人経営の店舗や老舗などでは設置されていないところも存在すると思います。
しかし、何かあった時に、映像として残せるものは証拠として大変有効なものになります。
監視カメラを設置することで、万引きや窃盗などがあった場合の証拠になります。
それと同じように、クレーマーといえる不当な客の理不尽な要求やセクハラなどの被害の証拠も、記録として残すことができます。
注意書きを書いておく
注意書きを書いて、店内に貼り付けておくのもクレーマーを減らすための対策として有効な手段といえます。
クレーマー撃退!などの文字の下記に、「悪質なカスタマーハラスメントをされるお客様がいらっしゃった場合には、容赦なく警察に連絡いたします」などの一文を入れておきましょう。
そうすることで、クレームを入れる側に、リスクを感じさせることができます。
また、このような注意喚起をする貼り紙を見れば、この店舗はクレームなどの対策もちゃんとされているという印象を与えるため、クレームを減らすことにも繋がります。
クレーマーの対応は上司が行うようにする
アルバイトの人は特にそうですが、クレーマーの人に不当な対応をされたとしても、当人に決定権はないため、逃げ出すこともできません。
そのため、悪質なクレームをするなどの迷惑行為を行う人への対応は、店長や所属長などの権限のある人間が対応する必要があります。
また、人が変わることによって、クレーマーの怒りが収まりやすくなるという効果も考えられるため、上の立場の人が対応するようにした方が無難といえます。
クレーマーの対処法に対する社内研修を行う
上記のように、クレーマーの対処は上の立場の人が行うことが一番良いと考えられますが、どうしても出張などで上司が席を外す場合もありますよね。
そういった場合には、やはり従業員もある程度はクレーマーへの対応ができるようになっておかないと困るのも事実です。
そのため、従業員が毅然とした態度で対応することができるように、クレーマーの対処法に対する社内研修を行うことが重要です。
カスタマーハラスメントをなくすためには
カスタマーハラスメントをなくすためには、クレーマーがいても働きやすい職場環境を作ること、社内体制を整えて従業員が毅然とした態度で対応できるようにすることが重要です。
厚生労働省でも、カスタマーハラスメント対策のために動き出していたりと、カスタマーハラスメントをなくすための取り組みが続々と増えてきています。
そのため、従業員がクレームにおびえることなく楽しく働ける職場環境を作れるように、社会的にも体制を整えて、余裕を持って働くことができるようになるといいですね。