就活ハラスメント(就ハラ)とは、企業に勤めている人事担当者がその立場を利用して、就活生(学生)や転職活動中の人にセクハラやオワハラなどのハラスメントを行うことを指します。
最近では、大学生が就活ハラスメントをなくすために対策を講じてほしいと厚労省に訴えかけるほど、社会問題となっているハラスメントの一つといえます。
こちらの記事では、就活ハラスメントとはどのようなものなのか、背景や事例、対処方法や解決方法について解説します。
就活ハラスメントとは?
就活ハラスメント(就ハラ)とは、企業に勤めている人事担当者がその立場を利用して、就活生(学生)や転職活動中の人にセクハラやオワハラなどのハラスメントを行うことを指します。
就活ハラスメントとは、就活をしていない人からすれば聞きなれない言葉かもしれません。
ですが、2016年にはトレンドキーワードとして挙げられるほど、社会に浸透されつつある問題といえます。
近年になるにつれて、多くの企業が人事担当者が就活生との接点を増やそうと、取り組んでいます。
ですが、その一方で、人事担当者がその立場を利用して、就活生を追い込むハラスメントも増加しています。
日本労働組合総連合会の調査によると、就活ハラスメント(セクハラ)を受けたことがあると回答しています。
20代男性が21.1%と最も多く、30代女性(15.5%)、20代女性(12.5%)と続いていると報告されています。
職場におけるハラスメントを受けたことがあると回答しているのは、20代女性が多いです。
しかし、就活ハラスメントでは20代男性の割合が多くなっています。
理由としては、男性であれば多少のハラスメント行為をしても大丈夫だろうと、安易に認識されているためと考えられます。
就活ハラスメントは、ハラスメントの総称である
就活ハラスメントに該当するハラスメントとは、就活生や転職活動中の人に対して行うハラスメント全般のことを指します。
そのため、就職活動を終わるように脅迫する行為である、終われハラスメント(オワハラ)も、就活ハラスメントに含まれます。
では、就活ハラスメントの実際の事例について見ていきましょう。
就活ハラスメントの事例
ここでは、就活ハラスメントの事例についてご紹介します。
面接でのハラスメント
- 本籍地や出生地、現住所について聞く
- 家族構成について聞く
- 家族の職業や収入、資産などについて聞く
- 信仰している宗教や支持政党などについて聞く
- 男女差別やセクハラになる言動や質問を行う
上記のように、職務に関係のない個人的な質問は、基本的にはしてはいけません。
しかし、現実には、人事担当者が勝手にこういった質問を取り入れてしまうこともあります。
そして、その返答が気に入らないと、「君みたいな人は会社にはいらない」と理不尽に不採用を通告される被害も報告されています。
OB訪問でのハラスメント
- OB訪問時に、採用するからといって、性的な関係を強要された
- OB訪問時に連絡先を交換してから、頻繁に連絡がくるようになった
- OB訪問時に、連絡先を聞かれ、今度は二人で会おうと強要された
OB訪問時には、上記のようなセクハラに該当するハラスメント被害に遭うことが多いです。
連絡先の交換を執拗に迫ったり、二人きりで会うことを強要するという事例が報告されています。
その他にも、こういったハラスメント事例もあります
- 履歴書にある就活生の電話番号を無断で入手し、個人的に連絡をする
- 就活生の大学や自宅の住所を無断に入手し、ストーカー行為をする
- 内定をもらった企業から、「すぐに入社を決めなければ、内定を取り消しする」と脅す
面接やOB訪問以外でも、履歴書などに記載されている個人情報を勝手に入手し、個人的に連絡を取ってくるケースがあります。
そのほかにも、ストーカー行為をするなどのセクハラ被害も多く報告されています。
また、内定をもらった企業から、すぐに承諾しないと内定を取り消すといって、他の企業からの内定や選考を辞退させようと強要する行為も、ハラスメントに該当します。
では、就活ハラスメントの加害者にならないための対処方法はあるのでしょうか。
就活ハラスメントの対処法
ここでは、就活ハラスメントの加害者にならないための対処法についてご紹介します。
個人的な内容を含んだ質問をしない
面接時やOB訪問時などに、就活生や転職活動中の人に対して、個人的な内容を含んだ質問はNGとされています。
しかし、コミュニケーションの一環として、悪気なくどこに住んでいるのか、どこ出身なのかを聞くこともあるため、一概にハラスメントであるとは言い難い部分もあります。
相手に不快な思いをさせるような言動や行動はハラスメント行為に該当します。
なので、そういった印象を与えないように、聞かれたくないと思うような質問や言動、行動は慎むようにしましょう。
就活生との適度な距離感を保つ
就活生や転職活動中の人との関係は、入社希望者と人事担当者(企業)という関係であり、決して個人的な付き合いをするような関係ではありません。
そのため、就活生に対して個人的な質問をしたり、連絡先の交換を強要したりといった、立場を利用して個人的な関係を築こうとする行為は、ハラスメントに該当します。
あくまでも、入社希望者と人事担当者(企業)という関係を改めて認識して、しっかりと線引きをして、適度な距離感を保って接することが重要です。
つぎに、就活ハラスメントをなくすためにはどうしたらいいのか、解決方法についてみていきましょう。
就活ハラスメントの解決方法
ここでは、就活ハラスメントをなくすための解決方法についてご紹介します。
企業に連絡する
就職活動または転職活動中にハラスメント被害に遭った場合には、迷わずに企業に連絡するようにしましょう。
特に、人事担当者がハラスメントの加害者である場合には、上司が知らないところで行われていることが多いです。
そのため、企業にハラスメントの事実をしっかりと伝えることで、企業側も会社の問題または社員の問題を把握することができるので、改善にも繋がります。
警察に連絡する
上記のように、企業に連絡をしてハラスメントの被害を訴えても改善されない場合。
以前よりもさらに被害がエスカレートしている場合には、すぐに警察に連絡しましょう。
面接で侮辱されるようなことを言われたり、二人で会おうと強要され、襲われたりした場合には、警察が対応してくれます。
また、他の企業の内定や選考を辞退するように強要されたり、その際に脅迫じみたようなことを言われたりした場合もあります。
それは「侮辱罪」や「脅迫罪」に該当するケースもあるため、迷った際にも一度警察に相談してみることをおすすめします。
就活ハラスメント防止を厚労省に求める声も
セクハラやパワハラの悩み相談を行う、民間企業「キュカ」があります。
就職活動中の学生に対するハラスメント防止を求める要望書と、署名1万1333筆を厚生労働省に提出しました。
同省は、策定中の企業にハラスメント防止を義務付ける指針に、就活生も対象に加えるよう求めたとのことです。
このように、就活生の悩みに対して、企業がその声をしっかりとまとめて伝えてくれていることを考えると、とても心強いですね。
これを真摯に受け止めて、企業側でもハラスメント行為を行わないよう防止対策を徹底することで、就活生が安心して就職活動に取り組めるようになることを切に願います。