ペイシェントハラスメント(ペイハラ)とは、患者やその家族から、医者に対するハラスメントのことを言います。
2021年12月に大阪のクリニックで、25人が犠牲となった放火殺人が起こりました。
また、2022年1月にも埼玉で医師が殺害される立てこもり事件が起こりました。
立て続けに、このような悲しい事件が起こったことで、ペイシェントハラスメントという言葉が話題になるようになりました。
そこで、ここでは、ペイシェントハラスメントとはどのようなものなのか、また、対処方法や解決方法について、詳しく見ていきたいと思います。
ペイシェントハラスメントとは?
ペイシェントハラスメント(ペイハラ)とは、患者やその家族から、医者に対するハラスメントのことを言います。
そして、このようなことを行う人のことは、モンスターペイシェントと呼ばれています。
医療従事者が、患者やその家族から暴言、暴力、セクハラなどのハラスメント受けるものをペイシェントハラスメントと呼ばれています。
近年、急増しており、7割程度の医療従事者がペイシェントハラスメントの被害にあったことがあるとのことです。
このことは、多くの病院において重大な問題となっており、これに対するきちんとした対処が求められています。
では、ペイシェントハラスメントには、どのような事例があるのでしょうか。
ペイシェントハラスメントの事例は?
ペイシェントハラスメントの事例は以下となります。
- 待ち時間が長いと大声を出す
- ミスに対して過剰なクレームをつける
- 診察内容に納得せず、病院に居座ろうとする
- クレームをつけて医療費を支払わない
- 理不尽な要求をし、長時間の対応を強いる
待ち時間が長いと大声を出す
病院というのは、ある程度、待たされるものです。
特に、人気のある病院では、待ち時間も長くなってしまいますよね。
しかし、受付順なのは当然ですので、誰しも平等です。
このような際に、待ち時間に対し、不満をぶつけ、大声を出すなどするのは、ペイシェントハラスメントとなります。
ミスに対して過剰なクレームをつける
医者や看護師、受付などで、多少のミスは起こり得るものです。
そのような場合に、鬼の首を取ったかのように、怒鳴り散らしたり、土下座など不当な要求を突き付けようとするのも、ペイシェントハラスメントとなります。
医療という命に関わる仕事ゆえ、ミスをしたことを過剰に攻め立てる行為となります。
診察内容に納得せず、病院に居座ろうとする
医者の診断内容を間違っていると決めつけたり、納得しなかったりし、自分の望むような内容に変えることを要求する行為です。
自分の希望が通るまで、帰ろうとしないなど、病院に迷惑を掛けるのも、ペイシェントハラスメントとなります。
クレームをつけて医療費を支払わない
診察内容や対応への不満などを盾に、医療費を支払わないという行為です。
診察を受けているにも関わらず、医療費を支払わない行為は、ペイシェントハラスメントどころか、犯罪にも該当します。
理不尽な要求をし、長時間の対応を強いる
診察や医療行為が十分に終了しているにも関わらず、さらなる対応を求めるなどもペイシェントハラスメントとなります。
では、このようなペイシェントハラスメントには、どのような対処方法や解決方法を取るのが良いでしょうか。
ペイシェントハラスメントの対処方法・解決方法とは?
ペイシェントハラスメントには、以下のような対処方法や解決方法が良いでしょう。
- 防衛手段を取る
- 過剰な要求は断る
- 平等を貫く
- 診療を断る
- 警察や弁護士に依頼する
ペイシェントハラスメントが起こる背景としては、患者をお客さん扱いし過ぎてしまうことも原因となります。
つまり、カスタマーハラスメントのような要素が大きいのではないでしょうか。
ですので、そのあたりに注意した上で、対応を心掛けるのが良いかと思われます。
防衛手段を取る
待合に、迷惑行為をした場合には、警察に通報すると記載したポスターを掲示している病院も増えているようです。
このような牽制は、ある程度の効力を発揮します。
また、医師が、ボイスレコーダーや護身用のアイテムを持つなど、防衛のための手段を用意しておくのも重要です。
過剰な要求は断る
全ての要求に納得してもらうのは難しいです。
納得してもらうことよりも、これ以上は対応できないということを理解してもらうように対応するのが良いでしょう。
平等を貫く
例えば、待ち時間が長いから、先に診察してくれなどといった要求をしてくる患者もいます。
このような患者に対しても、当然、順番通り対応するのは当然です。
診療を断る
医師法では、「医師は診療を求められた際、正当な理由なく拒否できない」との「応召義務」というものが定められています。
そのため、基本的には、患者を断ることはできません。
ただ、患者の命に関わる場合を除き、医療従事者らの命や精神を脅かしたり、業務妨害したりする場合は、診療を拒否しても問題ないでしょう。
このような場合にも、患者に「迷惑行為を二度としない」と誓約書を書かせた上で診療するなどするようにしましょう。
それでも、迷惑行為を繰り返す場合は、以後の診療を拒否したり、院内への立ち入りを禁止したりするといった例もあるようです。
警察や弁護士に依頼する
暴力や強要などといった明らかな違法行為が見られる場合には、病院だけで対応するのは困難です。
このような場合には、弁護士に依頼する必要が出てきます。
不法に病院に居座るなどとなると、警察に来てもらうなどの対応が必要です。
過度な要求などで、精神的な苦痛を与えられた場合には、弁護士に依頼し、法的な対処が必要となる場合もあるでしょう。