テクノロジーハラスメント(テクハラ)とは、スマートフォンやパソコンなど、IT機器の操作に不慣れな人に対する嫌がらせ行為のことを指します。
パソコンが浸透するにつれ、学校教育の中でもIT教育が導入されるようになりました。
社会の中では必要不可欠な機器となり、携帯電話やスマートフォンは、若い世代にとっては手放せないものになっています。
時代が進むにつれて、今よりももっとIT化が進むと予想されます。
それにより、テクノロジーハラスメントは深刻な問題となる可能性が高いといえます。
こちらの記事では、テクノロジーハラスメントとはどのようなものなのか、その事例、対処方法と解決方法について解説します。
テクノロジーハラスメントとは?
テクノロジーハラスメント(テクハラ)とは、スマートフォンやパソコンなど、IT機器の操作に不慣れな人に対する嫌がらせ行為のことです。
テクノロジーハラスメントは、別名「テクニカルハラスメント」とも呼ばれています。
IT化が進む中、文明の進化についていけなくなった人や、もしくは、パソコンやスマートフォンなどのIT機器の操作等が苦手な人がいます。
そのような人に対して、できないことを責めたり、相手を見下したりする嫌がらせ行為はテクハラになります。
現代では、スマートフォンやタブレット、パソコン、FAXやコピー機などのIT機器が使えることが当たり前という風潮があります。
しかし、かつては、そういった機器はありませんでした。
むしろ、IT化に伴い、現代では、スマートフォンやパソコンなどのIT機器を使いこなさなければなりません。
学校教育にもIT教育を追加したり、幼児や小児からプログラミング教育を導入したりといった動きが見られています。
しかし、こういった動きも、いってしまえばごく最近のことです。
そのため、IT機器があまり普及していなかった世代の方がIT機器に疎くなってしまうのは当然といえるでしょう。
しかし、それを考慮せずに、「なんでこんなこともわからないの?」「一回で覚えられるでしょ」と何気なく言ってしまう人は少なくありません。
今後、よりIT化が進むことは容易に予想されます。
それゆえに、こういった文明の進化についていけなくなった人に対しての心ない言葉や対応は益々増加すると予想されます。
では、テクノロジーハラスメントの事例はどのようなものがあるのでしょうか。
テクノロジーハラスメントの事例
ここでは、テクノロジーハラスメントの事例についてご紹介します。
- FAXの送信の仕方がわからず、部下に聞くと、「今時、FAXの送信の仕方がわからない人っているんですね。」と言われた
- パソコンの操作がわからず困っていると、上司から「このご時世なんだから、パソコンくらいまともに使えるようになってよ。本当に使えないやつだな。」と悪態をつかれた
- コピーの仕方がわからないので上司に聞くと、「いやいや、コンビニにあるんだから聞かなくてもわかるでしょ。」とまともに聞いてもらえなかった
- 上司がメールの送受信の仕方には詳しくないのを知りながら、上司への連絡事項を「メールで送りました。」「確認していない方が悪いですよね。」と嫌がらせをする
- パソコンに詳しい部下に、操作方法を教えてほしいと頼むと、「こんなのもわからないのに、よく仕事してこれましたね。」と馬鹿にされた
上記のように、パソコンなどのIT機器に関して、知識のある人から知識のない人のことを馬鹿にする人がいます。
また、相手を傷つけるような発言をする行為も、テクノロジーハラスメントに該当します。
このようなテクノロジーハラスメントにはどうすればいいのか、対処方法や解決方法についてみていきたいと思います。
テクノロジーハラスメントの対処方法
ここでは、テクノロジーハラスメントの加害者にならないための対処方法についてご紹介します。
IT機器が苦手であることを馬鹿にしない
IT機器が苦手であることを逆手にとって、あえて苦手な操作をさせるように仕向けるケースがあります。
それ以外にも、できないとわかっていて、IT機器を使用しないといけないような状況に追い込んだりすることは、立派なハラスメントになります。
ましてや、明らかに悪意を持って上記のような行為を行う場合には、ハラスメントでもあり、いじめ行為でもあります。
また、苦手なことだけに焦点を当てて、「こんなこともできないなんて」と相手を責めるような行為も、ハラスメントになります。
誰でも、できないこと、苦手なことに対して、馬鹿にされたら不快に思いますよね。
自分がされて嫌だと思うことは、相手がされても嫌なことだと自覚することが大切です。
また、そういったハラスメントや、いじめ行為に繋がることはしないように心がけることが重要です。
できることが当たり前だと思わない
IT機器を頻繁に使用する時代になったからといって、みんながパソコンや携帯電話などのIT機器を使いこなせるわけではありません。
特に、IT機器などの操作を理解することが難しいと感じている人や、まだIT機器が普及していなかった時代に働いていた人も当然存在します。
そのような人は、IT機器を使いこなすことができなくても不思議ではありません。
現に、IT機器に限らず、使用したことがないものを初めて使用するとなると、怖いな、できるのかなと不安になるのは当たり前です。
人によっては、理解して使い慣れるまでに相当な時間と労力を費やします。
そのため、できないからといって相手を責めるのはお門違いです。
できることが当たり前だと思わないこと、理解できるまでの時間は人によって違うことをしっかりと理解しましょう。
そして、相手の人を責めたり、馬鹿にしないように注意する必要があります。
次に、テクノロジーハラスメントの解決方法についてみていきたいと思います
テクノロジーハラスメントの解決方法
ここでは、テクノロジーハラスメントの解決方法についてご紹介します。
IT機器に関する使用方法などの講習を行う
IT機器に関する使用方法や操作方法などがわからず、入社した後にどうしたらよいのか困ってしまう人も少なからずいると思います。
今では、パソコンなどの授業を学校教育に取り入れています。
しかし、それがあったとしても、IT機器の操作が苦手な人はもちろんいます。
一度説明を聞いただけでは理解できない人もいます。
そんな人達のために、講習といった形でIT機器に関する使用方法などを詳しく説明する場を設けましょう。
そうすることで、業務に取り組む際の操作方法など、不安感を解消することができます。
また、講習の参加対象を新入社員のみにするのではなく、IT機器の操作などが苦手な社員も参加できる形にすることがポイントです。
IT機器への不安感や恐怖感を軽減したり、ハラスメントを防止することにもつながります。
IT機器の使用方法を分かりやすい場所に掲示しておく
IT機器への使用方法、または操作方法を何度も聞かれることがあると思います。
そんなとき、「忙しいときにやめてくれよ」とか、「何回同じことを聞くんだよ」と思ってしまうこともありますよね。
特に、仕事が繁忙期の時にそれが起こると、言ってはいけないとわかりつつ、ついぽろっとハラスメントになるようなことを言ってしまうこともあると思います。
それを防止するための方法があります。
それは、質問しなくても、一目見れば操作方法などがわかるよう、IT機器の側に使用方法や操作方法を明記した紙を掲示しておくことです。
より良い人間関係を築けるような環境づくりを心がける
IT機器の操作がわからない場合に、人に聞きにくいといった状況は少なからず存在します。
仕事が繁忙期でバタバタしている、課長や部長、係長といった役職に就いている。
または、上司という立場で部下にわからないところを聞きにくいという状況。
新入社員なので、誰に聞いてよいのかがわからない場合などが挙げられますよね。
その場合、わからないところをお互いに聞き合える環境があればいいですよね。
より良い人間関係を築くための環境が作れるような仕組みを考え、構築していくことが、ハラスメントを防止することにつながります。
社内の相談窓口に相談する
IT機器の操作ができないことと結びつけて、その人の人格を否定したり、できないやつだと扱うことは、モラルハラスメントにもなります。
そのため、テクハラやモラハラが過度に行われている場合には、ハラスメントの事実を会社に周知するために、社内の相談窓口に相談する方が良いでしょう。
また、その際には、ハラスメントとなる言動や行動を日記などに残しておきましょう。
録音して音声を残しておくなど、ハラスメントの記録を一緒に提出することで、スムーズに対応してもらいやすくなります。
最後に
テクノロジーハラスメントは、IT機器が普及してきたからこそ出てきたハラスメントだといえます。
しかし、普及してきたからといって、できることが当たり前ではありません。
IT機器を扱える人が増加したこと、仕事を担うのもIT機器が主流化しつつあるのは、事実かもしれません。
ですが、当たり前だと考えるのは避けたほうがいいでしょう。
なぜなら、できない人を馬鹿にしたり、なぜできないんだと責めたり、といった行動を引き起こしてしまうからです。
IT機器に限らず、自分ができないことを責められたり、できないと言ったことに対して馬鹿にされたりしたら不快感を抱いてしまいます。
しかし、改めて考えるようにすれば、ハラスメントといった行為は少なからず減るのではないでしょうか。