スモークハラスメント(スモハラ)とは、煙草を吸わない人に対して、煙草を無理矢理吸わせようとしたり、周囲への配慮なく喫煙を行うことで、煙草の煙を周囲にさらすなどの喫煙に関する嫌がらせ行為のことを指します。
煙草は趣向品の一種ではありますが、お酒と同じように、好きな人とそうでない人とでは受け取り方も大きく左右されます。
煙草の煙は健康にも悪いですし、煙草独特の臭いが服や髪についてしまったり、咳が出る原因にもなります。
また、周囲への配慮なく喫煙することによって生じる影響も問題となっています。
アルコールハラスメントと同様に職場でのハラスメントとして、よく知られています。
こちらの記事では、スモークハラスメントとはどのようなものなのか、その事例について触れながら、対処方法と解決方法について解説します。
スモークハラスメントとは
スモークハラスメント(スモハラ)とは、煙草を吸わない人に対して、煙草を無理矢理吸わせようとしたり、周囲への配慮なく喫煙を行うことで、煙草の煙を周囲にさらすなどの喫煙に関する嫌がらせ行為のことを指します。
スモークハラスメントとは、スモーク(煙)とハラスメント(嫌がらせ)を合わせた和製英語のことをいいます。略称はスモハラ。
職場などにおいて、喫煙者が非喫煙者に関して喫煙することを強要する行為。
喫煙者が吐いた煙を吸い込んでしまう受動喫煙など、いわゆる「喫煙に関する嫌がらせ」のことを指します。
スモークハラスメントが知られるようになったのは、1993年に日本の作家である山本由美子さんが提唱したことが始まりといわれています。
そんなスモークハラスメントには、どのような事例があるのでしょうか。
スモークハラスメントの事例
ここでは、スモークハラスメントの事例についてご紹介します。
喫煙を他人に強制する
上司という立場を利用して、部下に対して「一回でいいから吸ってみろよ。煙草の味を楽しめないなんて男じゃないぞ?」などと言って喫煙を強要する。
煙草が嫌いだ・苦手だという人の前で配慮なく喫煙をするなどの行為が見られるのであれば、それはスモハラに該当します。
職場での休憩室でよく見られる光景ではないでしょうか。
また、喫煙を強要するという行為は、パワハラにも該当するので注意しましょう。
飲み会の場などでの喫煙
飲み会の場などではテーブルに灰皿が常備されていることも多いです。
禁煙席が用意されていないお店以外では、ほとんどのお店で喫煙をすることができるようになっています。
特に、宴会など職場の人が大勢集まる場では、どうしても喫煙者と同じ部屋に身を置くことになってしまいます。
そのため、否応なしに煙草の煙を吸ってしまいます。
しかし、禁煙だと定められていない場所以外では、喫煙をするのはその人自身の自由です。
やむを得ない状況での受動喫煙は、ハラスメントには該当するとは言い難いのが現状です。
歩きながら煙草を吸う
歩き煙草をしている人はよく見かけると思いますが、あれも非喫煙者にとってはとても不快な行為ですよね。
道端に煙草の灰や吸殻を落として捨てたり、煙草の煙を吹かしながら歩いています。
煙草の臭いを吸いたくなくても、不可抗力で吸ってしまうことが多くなります。
しかし、歩き煙草においても、禁煙だと定められていない限りは、喫煙をするのは個人の自由になります。
なので、ハラスメントに該当するとは言い難いのが現状です。
では、スモークハラスメントの被害者にならないためにはどうすればいいのか、対処方法についてみていきたいと思います。
スモークハラスメントの対処方法
ここでは、スモークハラスメントを受けた場合もしくは被害を受ける前に個人でできる対処方法についてご紹介します。
遠慮せずに、毅然とした態度ではっきりと断る
上司から喫煙を勧められたり、目の前で喫煙をされたことがある人は多いでしょう。
ですが、立場の違いからどうしても気を遣ってしまい、断ることができずに我慢をしてしまうことが多くなりがちです。
しかし、煙草が苦手であること、目の前で吸ってほしくないことは、本人にしっかりと伝えないとわからないのも事実です。
そのため、毅然とした態度で喫煙をしないでほしいとはっきりと伝えることです。
もしくは、喫煙を勧められても、「健康に悪いことはしたくないので無理です。」などと自分の意思をはっきりと伝えて、断ることが重要です。
医者から止められていると言う
上記のように、直接はっきりと断ることが難しい場合には、医者から煙草を止められていると伝えることも対処法としては効果的だと考えられます。
例えば、「煙草の煙を吸うと、喘息を発症してしまうんです。」、「気分が悪くなって、体調を崩してしまうんです。」などです。
身体の危険を知らせれば、いくら上司といえど、それを押し通して喫煙を勧めたり、近くで喫煙をするということは避けられるはずです。
裁判で訴える
上記のような対処を講じても、スモハラが改善しなかった場合には、最悪裁判で訴えることも対処法として考えられます。
スモハラにおいて、法的に訴える基準として考えられているのは、健康増進法に違反するかしないかがポイントとなります。
第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(健康増進法 第5章第2節 第25条)
平成15年5月から施行されたこの法律により、職場などの管理者は分煙を行うことが義務付けられました。
そのため、この法律を無視した行為を行う。
非喫煙者に配慮のない対応を行うことで、就業環境が悪化した。
仕事に対して悪影響が出た場合には、法的手段をとって訴えることも視野に入れておきましょう。
では、スモークハラスメントの加害者にならないためにはどうすればいいのか、その解決方法についてみていきましょう。
スモークハラスメントの解決方法
ここでは、スモークハラスメントの加害者にならないための解決方法についてご紹介します。
個人でできる解決策
喫煙スペース以外では吸わない
喫煙者の配慮として、喫煙スペース以外では煙草を吸わないように意識することも重要です。
そうすることで、煙草の煙を非喫煙者が吸うこともなくなり、受動喫煙によって健康被害を生じる心配もなくなります。
事前に煙草を吸って良いかどうか、許可をとる
喫煙者の配慮として、事前に煙草を吸って良いかどうか、許可をとることが重要です。
上司と部下という上下関係が成り立っていると、なかなか断りづらいと思います。
そのため、事前に許可をとるように心がけることで、相手も断りやすい雰囲気を作ることができます。
しかし、事前に煙草を吸って良いかどうか確認したとしても、上司だから断りづらいと、我慢をしてしまうケースも少なくありません。
断りやすいように人間関係を良好にするよう日頃から努力することも重要かもしれませんね。
無理に煙草を勧めない
喫煙者の配慮として、非喫煙者に無理に煙草を勧めないようにすることが重要です。
特に、スモハラの被害として、煙草を吸うように強制することを悪気なく行ってしまうことも多く見られます。
人によって煙草の好き嫌いは別れること、捉え方は人によって違うことを頭に入れておきましょう。
会社でできる解決策
喫煙に関する講習を行う
喫煙をすることで身体に生じる影響や、喫煙をする際のマナーなどを社内で講習として行うことも会社でできる解決策として考えられます。
上記のことを改めて理解してもらうこと。
喫煙者も非喫煙者も、お互いがお互いを思い合った対応を心がけるように意識するよう促すことができます。
社内での喫煙のルールを設ける
会社内では全面禁煙と定めている会社もある中で、喫煙ブースを設置している、いわゆる分煙を行っている会社もあります。
これは、上記に挙げた健康増進法第25条で義務付けられていることであり、喫煙に関する配慮がなされていない場合は、法律違反となります。
会社で働く人は皆さんに当てはまりますが、喫煙は、会社で決められたルールに従って行うことが重要です。
最後に
スモークハラスメントをしてしまう人の特徴として、あらゆる形で喫煙を強要しているという形にはなるものの、強要している本人は悪気なく行っている場合が多く見られます。
しかし、喫煙を好む人にとっては最高の趣向品であったとしても、他の人が同じように喫煙が良いものだと思っているとは限りません。
むしろ、身体への影響や臭いなどが苦手で、煙草なんてなくなればいいと思うほど嫌いな人もいます。
周囲への配慮を意識して喫煙するようにしましょう。