マリッジハラスメント(マリハラ)は、未婚者(独身者)に対して執拗に独身の理由を詮索したり、責めたりして結婚を強要したりするなど、圧力をかける行為のことです。
マリッジハラスメントは、マリッジ(結婚)とハラスメント(嫌がらせ)を合わせた和製英語です。
未婚者(独身者)に対して、執拗に「結婚しないの?」「そんなことだから結婚できないんだよ」と結婚に関して圧力をかけたり、嫌がらせをする行為のことを指しています。
マリッジハラスメントは、パワーハラスメントの一種といえます。
こちらの記事では、マリッジハラスメントが起こる背景や原因、対処方法や解決方法について解説します。
マリッジハラスメントが起こる背景とは?
マリッジハラスメントが起こる背景として、少子高齢化や核家族化に伴い、晩婚化が進んでいることが一つの要因として挙げられます。
昔は、女性も男性も比較的若い年齢で結婚することが当たり前に考えられていました。
当時は、家庭に入って家を守ること、若いうちに子どもをたくさん産むことが、女性の務めでした。
男性は後継ぎを残し、妻である女性と子どもを守るために、働くことが美徳であると考えられていたためです。
しかし、現在では女性も働きやすい労働改革も進み、男性に守ってもらわなくても女性が地に足を付けて働くことができるようになりました。
それに伴い、男性も後継ぎを残すこと、女性と子どもを守るために働かなくてはいけないという意識が薄れてきました。
その結果、女性も男性も、若い世代になるにつれて、自分のことを中心に考えることが増えました。
そして、結婚や子孫を残すことを重要視しなくなったことが、晩婚化の原因だと考えられます。
では、マリッジハラスメントはなぜ起きるのでしょうか。
マリッジハラスメントが起きる原因
ここでは、マリッジハラスメントが起こってしまう原因についてご紹介します。
結婚をして満足している、または結婚するのが当たり前だった
マリッジハラスメントの背景でも挙げたように、結婚するのが当たり前に考えられていたことが、マリッジハラスメントが起こる原因として考えられます。
結婚をするかしないかは、本来は当事者同士で決めるべきことであって、結婚観や考え方、価値観の違いによって、人それぞれ異なるものです。
それを当たり前のこととして強要してしまったり、執拗に干渉してしまうと、それはマリッジハラスメントになります。
また、自分が結婚して良かったと満足している人が、相手に良かれと思って結婚を勧めることもあるでしょう。
結婚を勧めること自体は、悪いことではありません。
しかし、それが執拗だったり、相手を不快にさせてしまうものであれば、マリッジハラスメントの加害者になりうるのです。
過去に自分が紹介したことで結婚したカップルを誕生させたことがある
過去に自分が紹介したことで結婚したカップルを誕生させたことがある人も、マリッジハラスメントの加害者となりうる可能性があります。
一度、相手のためを想ってした行動が成功したとしても、それが次の相手にとっても同じようにプラスに働くかどうかはわかりません。
受け取り手次第の部分もあるため、難しいところがあります。
執拗に結婚相手を紹介しようとする行為も、相手が不快に思えばマリッジハラスメントになってしまいますので、強要しないようにしましょう。
職場で結婚ラッシュの時期が始まった
職場で結婚ラッシュの時期が始まった場合には、自然と結婚の話が持ち上がりやすくなり、恋人の有無や結婚時期などについて詮索してしまう要因となります。
これは環境の問題でもあるため、仕方のない部分もあるとは思います。
しかし、相手が嫌がっているのに無理に恋人の有無を聞き出そうとすること。
結婚願望や結婚相手、時期などについて執拗に触れたりすると、マリッジハラスメントになってしまうので、注意しましょう。
恋愛話や結婚話をするのが好き
恋愛話や結婚話をするのが好きだから、という理由で、執拗に聞き出そうとする行為もマリッジハラスメントとなります。
この場合は、良い話であっても悪い話であっても、その話を聞くこと自体に楽しみを見出しているため、興味半分で聞いている分、タチが悪いです。
相手のプライベートな部分に、そして嫌がっている素振りが見られるのであれば尚更、土足で踏み込まないように注意しましょう。
では、マリッジハラスメントの被害にあったらどうすればいいのか、見ていきましょう。
マリッジハラスメントの対処方法
今回は、マリッジハラスメントを受けた側が、どのように対処したらよいのかに焦点を当てて、ご紹介します。
嫌なことは嫌だとはっきりと伝える
マリッジハラスメントを避けるために一番効果的な対処方法は、はっきりと自分の意志を伝えることです。
言われて嫌だと感じること、聞かれて嫌だと感じることに対しては、はっきりと嫌だと相手に伝えることが重要です。
自分の意思をはっきりと伝え、不快に思っていることを相手に知らせることが大切です。
そうすれば、執拗に結婚に関して不快に感じる質問をされたり、言われたりすることを防ぐことができます。
本人にはっきりと嫌だと伝えた上でも改善されない場合には、ハラスメントとして上司や社内の相談窓口に相談するのも一つの手です。
結婚したい意志はあることを明確にしておく
これは、交際している方がいる場合に効果的な方法になります。
「結婚はまだしないの?」などと聞かれたことがある人も多いでしょう。
その場合は、「今はお互いに仕事に集中したいので、もう少し現状が落ち着いてから結婚しようと思っています。」などの言葉で返答すると良いでしょう。
結婚の意志はあり、それに向けて真剣に考えていることを相手に伝えることができるため、相手からそれ以上の質問をされないように促しやすくなります。
自分の価値観を相手に開示する
恋愛をするにしろ、結婚をするにしろ、人それぞれに価値観や考え方の違いがあります。
独身の人の中には、計画的に恋人を作らないようにしている人もいるでしょう。
また、恋人と交際していても、結婚する時期は慎重に考えている人も少なくありません。
そのため、自分の価値観を相手に伝えることで、恋人を作らない、または結婚しないアピールをすることができます。
たとえば、「夢を叶えるために、今は恋愛に現を抜かしている暇はないと考えているので、今は恋人はいりません。」や「仕事で一人前になって、相手を支えられる自信がついたら結婚しようと思っています。」などです。
結婚相手を紹介してもらう
恋人を作りたくても作ることができない、結婚したいと思っているけれども相手がいない、といった場合もあるでしょう。
そのときは、結婚に関して触れてくる相手に、恋人がほしいと思っている旨を伝えて、協力してもらうように促す手もあります。
結婚に関する話がしたくてアピールしてくるわけですから、恋人を作って幸せな結婚をするためにも、恋人がほしい意志を伝えて、どんどん相手を利用しちゃいましょう。
つぎは、マリッジハラスメントの加害者にならないためにはどうすればいいのか、その解決方法について見ていきたいと思います。
マリッジハラスメントの解決方法
マリッジハラスメントの加害者にならないための解決方法について紹介します。
マリッジハラスメントは、善意から行われるものが多いため、知らないうちに加害者になってしまう可能性が高いハラスメントといえます。
加害者とならないためにも、結婚することが幸せなのだと決めつけないこと、結婚をすることが普通なのだという認識を持たないことが重要です。
また、聞いてほしくないこと、話したくないことも人それぞれだということも、知っておくことが大切です。
結婚は、一生に一度のとても繊細な問題です。
相手が話したくなさそうな場合は、マリッジハラスメントをしないためにも、結婚についての会話を控えるようにしましょう。